2010年5月10日月曜日

チェスをする二人・・・2

5月5日、再び釣り場へ様子見に行った。
そこには先日と同じようにチェスをする二人の姿があった。
同じ場所で、同じスタイルで、前回と変わらない雰囲気でチェスをしている。
連休中毎日ここでチェスをしているのだろうか。
何か不思議に思えてきた。
学生だろうか?

とりあえず水際へ向い、釣り人の様子を見たが釣れていなさそうだ。
水は澄んでいた。
3メーター程の海底に一台の自転車が沈んでいる。
その上を白い腹をきらりと輝かせて小魚が泳いでいく。
ひょっとしてウルメイワシだろうか?
昨秋、ウルメイワシが釣れないかとサビキ仕掛けで挑戦したが、全くあたりはなかった。
水が澄みその上快晴では魚もどこかへピクニックに違いない。

海を背にして階段を上がると、相変わらず彼等はチェスをしている。
「コンピューターの答えが出た。こうだ」と言って次の手を指したのはいつも笑顔の青年で、胸を張って姿勢がいい。
対する相手は背を屈め、盤面から目を離さない。
彼は見るからに初心者だ。
「こんにちは、今日もチェスですか」
彼は笑顔で振り返って会釈した。
「昔東中野にチェスの出来る喫茶店があって、一二度行ったことがあるんですよ。チェスが好きならステファンツバイクのチェスの話
を読んで下さい。」
すると、彼は早速メモをとり
「有り難うございます。早速読んでみます」
と嬉しそうに応えた。

その日はそのまま帰宅した。
あんなことを言ってしまったが、あの本は今見つかるだろうか。
いくらかの無責任は自分の性格とはいえ、一抹の罪悪感を酒で紛らわして寝た。

続く・・・南視


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